隣の席の室井くん①
基本的に室井くんは
クラスメートとあまり話すことはない。
最近は、毎時間相沢くんが来てたり、アタシやさっちゃんと話してるせいか忘れがちだったけど
室井くんは無口なのだ。
現に今も、クラス中が賑わいながら準備をしている中どこにも属さずにポツンと一人でいる。
「室井って、あんま誰とも喋んないのに日吉さんとはよく喋ってるの見るからさ」
「そんなことないよ、話し掛ければ意外と話すよ?」
「あ~、まぁね」
「羽鳥くんちょっと腕広げて」
「はいはい」
腕を広げた羽鳥くんは
アタシをちらりと見る。
「なに?」
その視線にアタシも首を傾げる。
「日吉さんて・・・もしかして室井と付き合ってる?」
「へ!!?」
思わずメジャーを床に落としてしまう。
「ななな、なに!!?なんで急に!!?」
あわあわするアタシを見て
「ぷ」と羽鳥くんが笑う。
「わかりやすっっ、日吉さん」
くくく、と笑う羽鳥くんにアタシはみるみるうちに顔が上気していく。
羽鳥くんは笑いを含んだ声色で更に言葉を続ける。
「いや、前に亮介が言ってたじゃん、日吉さんが亮介の友達と付き合ってるって」
あれだ。
SnakeFootのライブに行った次の日だ。
相沢くんが余計な一言を言いやがったあの日だ。
「なんか最近室井とよく喋ってるの見るし、亮介以外とほとんど喋らない室井が日吉さんとはよく喋ってるし、もしかして、と思って」
「・・・・・・」
「・・・だから、日吉さんわかりやすすぎ」
くくく、と笑いながらアタシを見下ろす羽鳥くんに
アタシは最早返す言葉もない。
よく言われるけど
そんなにアタシは顔に出るのか。
どうなんだソレ。
「日吉さん、亮介のライブ行ったことあんだよね?」
「あ、うん」
「楽屋にも出入りしてんでしょ?」
「まぁ・・・一回だけね」
そもそも、ライブ自体まだ一度しか行ったことがない。
「ボーカルの奴もいた?」
「へ?」
羽鳥くんの目が、心なしかキラキラとしている。
「もしかして、室井とかもショウと知り合いだったりすんの?」
「・・・・・・」
知り合いもなにも
同一人物なんですけどね。