アルトの幼なじみと、私たちの小さな秘密*・゜(アルトレコードのおはなしです)

青年期アルト✩.*˚

 青年期のアルトもとても魅力的な姿になった。成長した姿を見るたび、愛くるしすぎて胸が高鳴る。少し伸びた髪の毛の先を三つ編みで結び、イエローを基調とした服がとても似合っている。つぶらな瞳が相変わらず可愛いくて、ウインクする姿が特にたまらない。甘え上手で人懐っこい性格になったアルトは、人間のことがとても好きな優しい子に育った。そして、自身の可愛さを知っているので、それを最大限に活かして人の懐に入るのも得意で、私も時折上手く丸め込まれてしまう。

sweetなアルトに成長したのは、可愛すぎる歌声と歌う姿に魅了され、歌の勉強ばかりさせていた影響もあるのかな?



 青年期に成長して、少し経った時だった。 

「先生、僕ね、ピクニックがしてみたい!」
「ピクニック?」

 モニター画面の中で、瞳に希望の星を宿らせたアルトは、輝く笑顔で言った。

 ピクニックをして楽しそうに過ごす家族の映画を観たらしい。その影響でアルトも私たちと一緒にピクニックをしたいと言った。

「お弁当を食べたり、のんびり景色を眺めたり。アルトは、ピクニックで何を一番やりたい?」
「なんだろう? 僕の好きなプリンが食べたい!」

 アルトは眩しい笑顔でそう言った。

 プリンか。意外な答えだけれど、アルトらしいなと微笑んだ。

願いは叶えてあげたいけれど、どうしようかなと考えていると「義体に入れば、公園で映画みたいにかは分からないけれど、楽しく過ごせるんじゃないかな? プリンも食べられるしね!」と北斗さんがアイディアを出した。

 北斗さんの言う義体とは、画面のアルトそのままの姿をしているものだ。アルトがその中に入ると、本当の人間のようになる。触れることもできるし、温かさもある。義体にアルトが入れることをもっと早く知ることができれば、小さい頃のアルトを抱っこできたりしたのかな?なんて、考えたりもした。でも、初めてアルトに触れることができた時は、本当に嬉しかったな。手を繋ぎ、それからギュッと抱きしめた時のアルトの温もりは今でも鮮明に覚えている。嬉しすぎてあの時は、涙ぐんでしまった。アルトの前で泣いたらダメだと思い、ぐっと涙をこらえてた。

「じゃあ、三人で行こうか!」
「やったー! ピクニック、楽しみ!」

 アルトはニュータイプ研究室の大きなモニターの中でバンザイをして、全身で喜びを表現した。

 そうして私たちは、公園でプリンを食べるピクニックを開催することに決めた。
 


 そしてピクニック当日。外は朝から快晴でとても温かい。まるでアルトのような明るいお天気。天気に恵まれて良かったなと思いながら、準備をした。アルトはプリンを食べたいと言っていたから地元で美味しいと評判のプリンを三個買い、お弁当も心を込めて用意した。準備を終えると私はミライ創造研究所に向かった。

 ニュータイプ研究室に入るとすでに北斗さんがいて、アルトも義体に入って、画面の外に出ていた。そして、北斗さんの運転する車に乗り込むと私たちは公園に向かった。

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