冷淡女上司を攻略せよ！～ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記～

「とは言っても、ある事ない事をでっち上げ、話を大きくして記事にする、という可能性はあると思う。だから、冬美にその事を伝えておこうと思ったんだ」

「わかりました。もしそうなっても、私は平気です」

冬美さんは平然とそう言い、田中という男の話はこれで終わり、と思ったのだが、

「そうか。だが、私にはもっと気になる事があるんだ」

社長は深刻そうな顔で冬美さんを見て、次になぜか俺を見た。

「私は、あの男の狂気じみた目付きが気になるんだ。週刊誌の記事になり、それで奴が満足すれば、むしろその方が良いのかもしれない」

「と言いますと？」

「もし奴が、私に拒絶され、週刊誌にもコケにされてヤケになったら、何を仕出かすかわからん。最悪は、冬美を逆恨みし、冬美に危害を加える、なんて事を私は心配してるんだ。だから冬美には、十分に警戒してもらいたい」

すると冬美さんは体を強張らせ、腿の上で拳を握った。そんな冬美さんの手を、俺は上から包み込むように握り締めた。社長の顔色は気にせずに。

「社長。冬美さんは、俺が全力で守ります！」