冷淡女上司を攻略せよ!~ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記~
「君で大丈夫かね?」

「はい。正直、腕力には自信ありませんが、それは愛と根性でカバーします」

俺がそう言うと、社長はフッと笑った。社長が笑ったのを見るのは、初めてだ。

「他に頼める男はいなし、君に任せるよ。冬美を守ってくれ」

「はい。ですが……」

俺は、たった今思い付いた事を、社長に提案する事にした。

「そのためには、俺は常に冬美さんに付いていないとダメだと思うんです。なので、今日から俺はここに住みたい、いや住むべきだと思うんですが、いいですか?」

俺はそう言って、社長を真剣な目で見た。邪念を隠して。

「私は構わんが、肝心の冬美はどうなのかな?」

社長と俺の二人で、冬美さんに目を向けると、

「わ、私も構わないです」

と、冬美さんはか細い声で言い、顔を真っ赤にした。

それを見た社長は、案の定だが、露骨に嫌な顔をした。冬美さんって、すぐ顔に出るんだもんなあ。


話が終わると、社長は早々に帰る事になった。

「お父さん、蕗の山椒煮、美味しかったです」

「おお、そうか。私もあれが好きでね」
「奥さんに、そう伝えてください」

「わかった。伝えておくよ。それはそうと、たまには家に顔を出しなさい。あれも喜ぶから」

「はい、そうします」

「じゃ、くれぐれも気を付けてくれよ。まーくんもな?」

「は、はい!」

社長はニッと笑い、帰って行った。俺、あの人とは意外に馬が合うかもしれない。
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