冷淡女上司を攻略せよ!~ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記~
玄関の扉を開き、大きめな声で「ただいまー」と言ったら、ペタペタペタという音と共に、エプロン姿のおふくろが出迎えに来た。

そして、「おかえり……」と言ったところで、冬美さんを見て固まった。

おふくろには帰るとだけ告げ、連れがいる事は話していなかったからだ。しかもとびきり美人の冬美さんであれば、驚くのも無理は無いと思う。

「こちらの方は?」
「姉貴の友人で俺の上司の、中条冬美さんさ。前にも来たよ」

「え? じゃあ、夕べはこの方のお宅に……?」

俺は”そういう事”という意味で頷き、おふくろは目を丸くした。

「突然お邪魔してすみません」
「いえいえ、いいんですよ。誠ったら、何も言ってくれないから……。誠がご迷惑をおかけしてすみません」

「いいえ、そんな、迷惑だなんて……」

そこへ、おふくろと同じくエプロン姿の姉貴がやって来た。おふくろと、夕飯の支度をしているのだろう。

「やっぱり冬美も来たんだね!」
「あ、葉子。まーくんに付いて来ちゃった」

冬美さんの、その言い方と仕種はとても可愛いのだが……

「まーくん?」

おふくろと姉貴がハモり、さすがに俺も、恥ずかしいと思った。”まーくん”と呼ぶのは、二人の時限定にしてもらおうかな。
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