冷淡女上司を攻略せよ!~ヘタレ年下イケメン男子の恋愛奮戦記~
同棲開始
夕方になり、俺の熱もすっかり平熱に下がったので、当面の荷物を取りに家に戻る事にした。その間、冬美さんを一人にするのは心配なので、彼女も一緒に行ってもらう事になった。

俺達はシャワーを浴び、と言っても一緒にではないが、冬美さんはばっちりメイクした。思った通りだが、メイクした冬美さんは、超が付く程綺麗だった。

「まーくん。私、恥ずかしい……」
「我慢してください。身の安全のために」

歩いていても、電車の中でも、俺は冬美さんにピッタリくっ付いていた。冬美さんを守るためなので、言わば不可抗力だと思う。

「人が見てるから……」

それには俺も気付いていた。だが、俺達がくっ付いているからではなく、冬美さんが綺麗だからだ。本人は自覚してないようだが。

田中と言う男だけでなく、世の中の男全員を敵に回した気分だ。

家に着くと、駐車場にBMWが停まっていた。

「姉貴達も来てるみたいだね?」
「え? じゃあ、葉子の旦那様も?」

「もちろん。あれ、亮平の車だから」
「わあ、楽しみ」

「そんなに嬉しいか?」
「だって、披露宴の時はちゃんと見てなかったから、本当に葉子がのろける程、素敵な人なのか確かめたい、って思うのは自然な事でしょ?」

「ちぇっ」

最強の敵は、案外身近にいたのかもしれない。
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