ひとつ、ふたつ、ひみつ。

知り合いの誰にも見られることもなく、無事に買い物は終了。

そのままワープで家の中まで入ってもよかったのだけど、せっかくだからそのまま歩いて帰宅。

真尋くん、マンションのエレベーターもお気に入りみたいだし。

マンション五階の通路は、一番の警戒区域(けいかいくいき)
あっくんも、あっくんのママも……よし、いない。

「お疲れ様。疲れなかった?」

買った荷物を持ってくれている真尋くんに、部屋の鍵を開ける前に声をかける。

「うん、平気。学校も、楽しかったし」

私はずっと、ハラハラヒヤヒヤしてたけどね……。

でも、楽しかったならいいか。

鍵穴に鍵を差し込んで、はたと気がつく。

「そういえば、真尋くんにはただいましか言ったことなかったよね」

「うん?」

扉を背にして、真尋くんに向き直る。

「おかえりなさい、真尋くん」
< 121 / 271 >

この作品をシェア

pagetop