ひとつ、ふたつ、ひみつ。
「花、欲しいのか?」

「ううん、大丈夫。可愛いなって、見てただけだよ。私、こっちの道使わないから、色々めずらしくて。行こう」

ごまかすように笑って、私は花屋さんから目を(そむ)けた。

「あっちに、お前が好きそうな雑貨屋あるぞ」

「本当? 行ってみたい」

……あっくんが名前を呼ばなかったら。

私、何を考えてた?

綺麗なものを見て、真尋くんにも見せたいなんて思って。

ふたりで一緒に、なんて。

“未来”に、真尋くんを望んでしまった。

今日いなくなっても、おかしくない人なのに。

会いたい。
でも、会いたくない。

気持ちに気づいてしまった今、顔を見たらきっと泣いてしまう。
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