ひとつ、ふたつ、ひみつ。
「も、もう! 真尋くん!」

手で押し返して、体を引き()がそうとするけど、抱きしめる力が強い。

「ちょ、ちょっと、きっ、昨日言ったよね……!?」

待って、勘弁して。私と同じシャンプーのにおいがする。
ドキドキする。

広い胸と、力強い腕。
こんなシチュエーション、知らない。

「昨日? 人前以外なら、抱きついてもいいってこと?」

「それは言ってません……!」

なんとか離れようと腕の中でもがくけど、そうするほどに、抱きしめる力が増してくる。

息ができない。苦しい。

胸が早鐘(はやがね)を打つ音は、きっと真尋くんに丸聞こえ。

その内、私の心臓の音に混ざって、真尋くんの肩がふるふると震えていることに気づいた。

「……なに笑ってるの」

「ご、ごめん、こまりの反応が……」

「面白くて?」

「いや、可愛くて」
< 56 / 277 >

この作品をシェア

pagetop