ひとつ、ふたつ、ひみつ。
「うん、学校だよ! すごい! 私でも、ワープが出来た!」

さっきまで、マンションの部屋にいたのに。
目を閉じて、開いたらもう学校だなんて。

「真尋くんの世界では、こういうのが当たり前なんだね。すごいね!」

「……」

「うわ!?」

ぴょんぴょんと子どもみたいに跳ねながら喜んでいたら、なぜか手を引かれて、真尋くんの腕の中に収められた。

「び、びっくりした。すぐ抱きしめようとするの、やめて真尋くん……」

「人前じゃないから、いいかと思って」

「真尋くんは、人前でもするでしょ」

「うん」

うん、じゃないよ。

「ワープしただけで喜ぶ人、初めて見たから。可愛くて」

真尋くんのその癖、本当に厄介。
出会ってからずっと、一生分の『可愛い』を貰っている。
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