ひとつ、ふたつ、ひみつ。
「こまり、大丈夫?」

「う、うん。全然痛くな……」

痛くない。
それもそのはず。
私は、抱き抱えられるような形で、真尋くんを下敷(したじ)きにしていた。

「ひゃあ!? ごめん!」

「えー、離れちゃうの?」

「私、重いから!」

「重くないよ、ちょうどいいよ」

そこは、嘘でも軽いよって言うもんなんじゃないのか。

ちょうどいい……。ちょうどいいって、なんだろう。
真尋くんが来てから毎日ご飯がおいしくて、食べすぎている自覚はある。

……痩せようかな。

「ここが、学校の屋上?」

真尋くんに問いかけられて、私はやっと周りに目を向けた。

ぐるりと周りを囲む、高いフェンス。校舎四階へ続く出入口。給水タンク。

成功した……。
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