ひとつ、ふたつ、ひみつ。
スマホで時効を確認。
ワープをしたおかげで、まだまだ教室に行くまで時間がある。

あっくんよりも早く教室にいたら不自然すぎるし、しばらくここにいよう。

「そうだ、これ、返すね。帰れなくなっちゃうもんね」

私は、ワープに使ったスクデを真尋くんへ手渡す。
確か、戻る時には画面を左へスワイプするんじゃなかったかな。

「……こまりは、今日もまた夕方にならないと家に帰ってこないの?」

「? うん、そうだね。授業があるから。あと少ししたら、教室に行くね」

なんだろう?

「俺も、一緒にいたらだめ?」

指先で控えめに手を取られ、心臓がぎゅんっと血液を顔へ上昇させる。

いつも思いっきり抱きついたり、簡単に手を握るくせに。

なんで今さらそんな技を使ってくるの。
可愛いな、もう……。
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