冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~


 どうしてそんな重要事項を伏せていたのだろう、と。

 でも、あの席で私がバツイチだということを知れば、ご両親はきっと裕翔さんと私の関係を認めてはくれなかった。

 そもそも、身分を隠し、偽装の婚約者として会ったのだ。

 あのときは一度きりというつもりでもあった。

 私に、裕翔さんの婚約者なんて大役が長期間務まるはずもないと思っていたから……。

 裕翔さんはいつまでご両親に偽るつもりなのだろう。

 少なくとも、私が務められるのは今日まで。私の偽装婚約者としてのともし火は、あとわずかな時間でその火を消そうとしている。

 式典は午後十六時開場。

 今回の会場は以前、裕翔さんのご両親と顔合わせをしたあの老舗ホテルだ。

 なんの因果か、始まった場所で終わりを迎えるのかと密かに覚悟も決めている。

 普段通り、今日はかっちりとしたパンツスーツの装い。

 ダークグレーのセットアップに、パーティーということを考慮してインナーは胸元にフリルをあしらったブラックのブラウスを身に着けた。

 会場入りしてみると、思っていた以上に華やかさが強い。

 男性はスーツの装いが基本だけど、女性のほうはパーティー仕様のドレスを身に着けている人や、着物の女性も見受けられた。

 少し地味だったかなと思ったものの、一社員として出席する身。あまり目立たず、控え目でいいと思い直す。

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