冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
今日は会長以下の役員、幹部、本社より各チームの代表が出席。さらにグループ会社数社の来賓をお迎えして、五百名程度の大規模な式典になるという。
会場内では、名刺交換をして挨拶をする人の姿が多く見受けられ、歓談で盛り上がっている。
こんなに大勢の人が集まる中で、今日は裕翔さんに直接会える気がなんとなくしない。
そんなことを考えていると、司会進行役から会場に開式の案内が入った。
指定されている席につき、会場正面に目を向ける。
大きく掲げられた〝ナナセホールディングス創業三〇周年記念式典〟の文字。
開式の言葉が始まり、すぐに裕翔さんが金屏風と立派な装花の前で挨拶を始める。
遠くに見えるその姿を目に、不思議な感覚を覚える。
本当に自分と彼が関わりがあるのか、そんな疑問を抱いてしまうほど壇上に立つ裕翔さんは生きている世界線が違う。
本来は会話を交わすことも叶わない相手なのだから。
「今も尚、ナナセホールディングスがこの業界のトップを走り続けていられることは、ここにお集まりいただいた皆さんひとりひとりの力があってこそです。その努力に敬意を表し、私からの言葉とさせていただきます」
裕翔さんが挨拶を終えると、会場から大きな拍手が沸き起こる。
私も一社員として、壇上で頭を下げる裕翔さんに拍手を送った。