冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
七瀬CEOから呼び出され、今日の話をされたときは腰を抜かしそうになった。
そもそも、呼び出す相手を間違えているんじゃないかって。
私にしている話だとわかった後も、ぴんとこなかった部分は大きかった。
それから今日を迎えるまで、日に日に緊張と不安とが増していったけれど、いざ当日になってしまうとあっという間の時間で。
もちろん相手が相手だけに常に緊張はしていたけれど、不思議なことに終わってしまった今日を少し残念に思っている自分がどこかに存在している。
たぶん……いや、きっと、七瀬CEOとの時間に魅了されたに違いない。
本当の婚約者のように丁寧に扱ってもらったこと、たとえそれが演技だとしても、今までそんな風に男性に接してもらったことはなかったから単純に嬉しかった。
嘘ではなく、彼に大事に想われる女性はきっと幸せ。羨ましいなと思う。
でも、そんなこと思うこと自体おこがましい。
私はこの重大ミッションを終えると共に、自分のキャリアアップの道を切り開いたのだ。
夢のような時間の余韻に浸っていたいのも山々、仕事関係の調べものをしようとノートパソコンの電源を入れた。