冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
新部署も慣れてきたこと、チームのメンバーも良い人ばかりだということを打ち、彩子先輩が大丈夫なときにランチでも飲みでも行きたいとメッセージを作っていく。
ちょうど送信をタップしたタイミングで一階へと到着した。
異動したマッチングチームは、本社ビルとは違う場所にオフィスを構える。
徒歩圏内ではあるものの、最寄りの地下鉄は変わる程度の距離間。
だから、これまで同じチームで気軽にランチにも出られた彩子先輩とも、約束をしないと会うのが難しくなってしまったのだ。
異動をしてほとんどのことが良かったけれど、そこだけが少し残念に思えている。
エントランスを出て行くと、外はすっかり夜の街に。
ひとり駅に向かって歩き出したところで、正面から近付いてきた二人組に足を止められた。
「久しぶり、元奥さん」
そんなふざけた挨拶をすれば、となりにいる後輩女が「やめなよー、その呼び方」とけらけら笑う。
どうしてこんなところにこのふたりが揃って現れるのか疑問しかない。
そう思うのは、私の異動がちょうど決まったときのこと。
驚くことに、このふたりにも異動命令が通知されたのだ。
元夫は、茨城にあるオフィスに飛ばされ、後輩は東京都下にあるオフィスの販売第三促進部というほとんど仕事のないと噂されている部署に異動になった。
本人たちには身に覚えのない異動命令だったらしく、オフィスで騒いでいたのを覚えている。
私の異動と共にふたりまで異動となり、もしかしたら七瀬CEOが?とも頭を過った。
タイミング的にそう思わざる得なかったけれど、それを確認することはできなかった。
婚約者を演じたあの日以降、七瀬CEOとは連絡は取っていない。