冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~


「わぁ……すごい綺麗」


 目の前に広がるのは、東京の夜空と眼下にはビル群の夜景。

 この高さでないと見られない景色を前に、胸がいっぱいになる。


「もともと、今日は仕事が終わったら来ようと思っててな。そんなとき、あそこで君たちに会ったから」


 そうだった。

 今さっきあんな不快な思いをしていたことも、その後の急展開で中和されて落ち着いていた。

 今になってさっきの楽しそうなふたりの顔が脳裏に蘇る。


「そうだったんですか……。すみません、せっかくのプライベートな時間にご迷惑を」

「なにも謝る必要はない。迷惑だと思うなら初めから連れ出さないからな」


 その言葉にホッとする。

 七瀬CEOはひとりガラスの目の前まで歩いていく。

 その後にゆっくりと続いた。


「都心にいても、ここなら星が綺麗に見えるんだ」

「ほんとですね……」


 地上にいると、東京の街は明るいから夜空を見上げても星はよく見えない。

 でも、ここなら街の明かりはずっと下にあって空が近い。

 展望エリアは照明が暗めに落とされていて、ここからよく星空が望める。


「先ほどは、お見苦しいところをすみませんでした」


 少し時間が経過して、謝罪が出てくるくらいにやっと気持ちも落ち着いてきた。

 あの場ではすぐに謝ることもお礼も出てこなかった。


「彼らとは、別の部署になって正解だったな」

「はい……」


 たしかに、異動になってあのふたりと別の場所で仕事ができる環境になり、心穏やかに働けている。

 いらないストレスから解放され、仕事にだけ集中できているのが一番ありがたい。

< 53 / 172 >

この作品をシェア

pagetop