冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「わぁ……すごい綺麗」
目の前に広がるのは、東京の夜空と眼下にはビル群の夜景。
この高さでないと見られない景色を前に、胸がいっぱいになる。
「もともと、今日は仕事が終わったら来ようと思っててな。そんなとき、あそこで君たちに会ったから」
そうだった。
今さっきあんな不快な思いをしていたことも、その後の急展開で中和されて落ち着いていた。
今になってさっきの楽しそうなふたりの顔が脳裏に蘇る。
「そうだったんですか……。すみません、せっかくのプライベートな時間にご迷惑を」
「なにも謝る必要はない。迷惑だと思うなら初めから連れ出さないからな」
その言葉にホッとする。
七瀬CEOはひとりガラスの目の前まで歩いていく。
その後にゆっくりと続いた。
「都心にいても、ここなら星が綺麗に見えるんだ」
「ほんとですね……」
地上にいると、東京の街は明るいから夜空を見上げても星はよく見えない。
でも、ここなら街の明かりはずっと下にあって空が近い。
展望エリアは照明が暗めに落とされていて、ここからよく星空が望める。
「先ほどは、お見苦しいところをすみませんでした」
少し時間が経過して、謝罪が出てくるくらいにやっと気持ちも落ち着いてきた。
あの場ではすぐに謝ることもお礼も出てこなかった。
「彼らとは、別の部署になって正解だったな」
「はい……」
たしかに、異動になってあのふたりと別の場所で仕事ができる環境になり、心穏やかに働けている。
いらないストレスから解放され、仕事にだけ集中できているのが一番ありがたい。