冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
彼女にとって日常的で話をしやすい、心を許してくれるような時間をつくりたいと思ってランチに誘った。
しかし、それが裏目に出るとは……。
自分でも引くくらい、失敗してしまったと落ち込んでいる。
女性との関係でこんな風に悩んだことなど今まで一度もない。
「やはり、お席の手配をしておいたほうがよかったですね」
「結果的には、そうだったかもしれないな……ただ普通にランチがしたかっただけなのに、こうも意図するものと違ってくるとは」
「七瀬CEO、お気持ちはよくわかります。ですが、それは周囲がそうさせてはくださいません。あなた様は、それほど世間からは特別な存在なのですから」
坂東からの言葉につい小さくため息が漏れる。
彼女の言う通り。それも重々承知の上だ。
「ああ、わかってる」
とはいえ、やはり立場を取っ払った関係を築けるのが理想だと追い求めてしまう。
せっかくこうして近づけるチャンスが巡ってきているのに、それを棒には振りたくない。
「もうすぐ、彼女の誕生日なんだ。その日を祝いたいと思ってる」
「お力になれることがありましたら、何なりとお申し付けください。どこか場所を押さえますか」
「いや……ひとつ考えていることがある。秘書という立場からではなく、一女性からの意見を聞かせてもらえないか」
初めてそんな形で坂東に意見を求めたけれど、彼女は「もちろんでございます!」と快く受け入れてくれた。