冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「はい、おかげ様でなんとか頑張ってます」
「人間関係は? やりにくくない?」
「はい、大丈夫です」
「だよね、今までの環境に比べたら、みんな良い人ってなっちゃうか」
まさにその通り。
異動前の状況に比べたら、あれより酷い職場なんて絶対にないと言い切れる。
「なんかさ、いろいろ聞いた話があって。知花ちゃんと同じタイミングで異動になったあのふたり」
「なんかあったんですか?」
元夫と、後輩女のことだ。
私は今のオフィスにふたり揃って現れて以来会っていないし、なんの情報も得ていない。
「原田くんはさ、茨城に飛ばされたじゃん? その新しい部署でかなり態度悪いみたいでさ。私の同期が茨城のオフィスにいるんだよね、結婚して向こう住みになったから勤務地向こうに異動してもらった友達なんだけど。その子から連絡きてさ」
「え、態度悪いって」
「勤務時間中にすぐどっか消えちゃって、さぼってたりとか。あと、急な欠勤とかも多いらしい。あとあと、その連絡くれた日なんて上司に」
「えぇ……酷いですね」
私のところに来たときも文句を連ねていたけれど、異動先でも迷惑がかかるような勤務態度のようだ。
「それに、三ツ橋さんも」
「えぇ? そっちも?」
「うん。彼女のほうは欠勤が多いみたい。男と引き離されてやる気なくなっちゃったんじゃないの?」
彩子先輩は厭味っぽく言いながらジョッキを掴む。