冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~


 三ツ橋さんはコミュニケーションチームだった頃は目立った欠勤もなかった。

 彩子先輩の言うように、本当に元夫と離れたからなのかもしれない。

 だとすれば、そんな浮ついた事情で職場に迷惑をかけているなんて異動早々失礼すぎる。


「まぁ、どっちも自業自得だからね、こうなったのも。あのふたりが一緒にいるのって、周りにも良く思ってる人いなかったし、みんな口には出さないけど引き離されて正解って思ってるよ。もしかしたら、多数クレームがあっての異動かもね」


 そういえば、以前七瀬CEOが言っていた言葉を思い出す。

『彼らの勤務態度が悪いことは耳にしていた』

 彩子先輩の言うように、多方面から情報が入っていたのかもしれない。


「そんなことよりもさ、知花ちゃんが新しいチーム順調みたいでよかったよ。言ってた新サービスの企画案は進んでる?」

「はい。チーム長に企画を提出したら、新サービス案としてプレゼンを予定しようと言ってもらえて」

「えー! すごいじゃん、異動早々に」


 頭の中にあった構想をチーム内で話してみると、形にしてみたほうがいいと勧められ企画書を作った。

 それを見たチーム長から絶賛をもらい、新サービスの提案として社内プレゼンをしてみてはどうかと背中を押してもらった。

 上層部も交えてのプレゼンは今まで経験がないから緊張するけれど、せっかくのチャンスを棒に振らないように頑張りたい。

 チームのメンバーや上司がみんな良い人ばかりだから、こんな風に異動間もなくしてチャレンジさせてもらえている。本当にありがたい環境だ。

< 70 / 172 >

この作品をシェア

pagetop