二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない
俺のこと、まじで好きじゃないんじゃねえの?



俺のイライラは止まらない。



もう一度女に手を取られ、そのまま海のほうに引っ張られた。



「あなた、妖でしょう? 海はお好き? 海で遊びましょう」



そう言って、惺音へのイライラで油断した俺はそのまま海中に引き込まれた。



一応海中でも妖狐の姿になれば息はできる俺。



だけど目の前の美女は、海に入った途端、黒い坊主頭の巨大なナマズのようなバケモノに変わった。



「お前…海坊主か!」

「左様。貴様は狐だったか。ちょうどいい。狐玉をいただこう」



そう言って俺に襲い掛かってきた。



俺はそれを余裕でかわす。



こんな重い攻めで俺に敵うわけがない。



「チッ…」



舌打ちをした海坊主は、今度はヒレで襲ってくる。



かわすことはできるが、倒し方が分からねえ…。



っていうかなんで海坊主がこっちの世界にいるんだ…?



普通なら妖の世界にいて、海坊主程度の力だったら、こっちには来られないはず。



そんなことを考えている間にも海坊主の攻撃は続く。



下手に殺すと罰されるしな…。



狐火は水中でも燃え続ける。



狐火を海坊主のヒレに投げた。



途端に海坊主の動きが鈍くなった。



弱点はそこか…。



もう一発狐火をヒレに投げると、完全におとなしくなった。



海坊主は悔しそうに何か叫んでいるが、動けない。



ふう…。



これでなんとかなった…。



俺はひと段落着いたので海から上がった。



あとで衛府に伝えて引き取ってもらおう。



あの感じじゃしばらく動けなそうだし俺が捕らえて引き渡さなくても済みそうだ。



海から上がると、惺音が驚いた顔をして駆け寄ってきた。
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