二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

バレンタインのお味はいかが

~惺音~

ある日、あたしは莉子に呼び出された。



「なに?」



呼び出された2月の屋上はあまりにも寒い。



あたしは両腕を抑えながら莉子を急かした。



「あの…ね、惺音ちゃんには言っておこうと思って…」



そう言う莉子の顔はどことなく照れている。



あたしは顔に「?」を浮かべた。



「前に…蘭くんのことが気になってるって言ったじゃん?」

「ああ…そのこと?」

「あたし、やっぱり、蘭くんのことが好き。確信したよ」



莉子は真剣な顔であたしを見た。



あたしはふっと笑みを漏らす。



「そっか」

「うん…。正直不安なこともたくさんあるけど、好きだと思う気持ちがどうしても止まらない」



それはあたしにも分かる気がした。



お母さんに煌との関係は危ないこともあると言われたとき、別れようなんて一つも思わなかった。



つまりは…好きだという気持ちがそれだけ大きいということで。



「応援してる」



あたしは笑顔で言った。



「ありがとう」



莉子も笑顔になった。



それから続ける。



「それでね、今度のバレンタインに…告白してみようと思って」



バレンタイン…。



そうか、そんな季節か…。



「展開早いね」

「うん、まずは自分の気持ちを伝えたくて…。それで惺音ちゃん、一緒にバレンタインのチョコ作らない?」



莉子が笑顔のまま言った。



手作りの…チョコをあたしが…?



煌にあげるの!?



何それ、素直になれないあたしとしてはとても恥ずかしいイベント…。



「あたし、料理とかしたことないし…」

「あたしが教えてあげる!」



あたしの手を取ってニコニコしてる莉子。



恥ずかしいけど…あげてみたい、かも…。



「お願いします…」

「うん!」



というわけであたしたち、バレンタインはちょっと頑張ります!
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