二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない


≪…惺音、惺音!≫

≪煌!?≫



夢の中…。



煌があたしの名前を大声で呼んでいるのが聞こえる。



あたしは周囲を見回す。



煌が後ろからあたしに駆け寄ってきた。



そして、勢いよくあたしのことを抱きしめる。



≪無事で良かった…≫

≪心配かけてごめん…≫

≪何もされてないか?≫

≪大丈夫だよ…≫

≪俺が守り切れなかったばかりに…ごめん…≫

≪ううん、あたしは大丈夫だから≫



きつく抱きしめる煌にあたしもすごくホッとした気持ちになった。



夢の中でも、煌があたしのそばにいる…。



煌が体を離した。



≪今、どこにいる? 妖の世界を必死に探してるけど見つからない…≫

≪多分、龍王の家だと思うんだけど…≫

≪龍王の家? 本拠の土龍山ならすでに探してる…≫

≪そうなの…? じゃあ別宅が…? もしかしてあたしが一瞬眠らされた間に人間界に移されたとか…≫

≪だとしたら惺音の姿が人間の姿になってるはずだろ≫



あたしは、あ、と首を横に振った。



≪あたし今、狐玉を奪われてるの。狐玉がない状態だと否応がなしに妖の姿のまま…≫

≪狐玉を!? それで囚われのままだったのか…。やべえな、早く惺音を見つけ出して取り返さねえと…≫

≪でも…もし本当に人間界にいるとしてもどこに…≫



2人でしばらく黙った。



煌が首を横に振る。



≪とにかく明日、人間界も隈なく探してみる。姿を隠すには妖の世界の方が何かと好都合だと思ったから必ず妖の世界にいると踏んで人間界自体まだ探してなかった≫

≪お願いね≫



あたしはうなずいた。



≪それから、明日だけど、紅柳のところから屋敷に使者が来る。あたしを人質に龍王を返すよう交渉するつもりらしいけど、絶対に応じないで≫

≪でもそれじゃあ惺音が殺される…。いったん交渉を飲んで龍王を返してから龍王の追討をすればいい≫

≪あたしは絶対殺されない。紅柳はあたしを本気で嫁にしようとしてるから。それに、龍王を引き渡したってあたしの身柄は煌たちの元には返されない。どちらにしても龍王の屋敷に囚われたままだよ、意味がないの。だから、とにかく煌はあたしの居場所を突き止めて。あたしも狐玉の在り処を突き止めるから≫

≪そうか…。絶対殺されないっていうのは本当だな?≫

≪大丈夫。信じて≫

≪分かった。俺は一刻も早くお前のことを見つけ出す≫



煌はそう言ってあたしのことをもう一度強く抱きしめた。

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