二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない
「蘭くん、ひな祭り知らないの?」

「知らなーい…」

「ひな祭りっていうのは、3月3日に女の子の幸せと成長を願ってお祝いする日のことだよ」

「ふーん? 何するの?」

「雛人形っていう人形を飾ったり、ちらし寿司食べたり!」



へー…。



よく分かんないや…。



よく分からないからスマホで調べた。



おお、なんか楽しそう…。



「あたしのいた施設では立派な七段飾りが毎年飾ってあったんだよ。ほら、これ…」



莉子が写真を見せてくれた。



「すげー! 綺麗!」

「でしょ?」



莉子はちょっと誇らしそう。



「毎年楽しみにしてたの?」

「そうなの! でもないならしょうがないね!」



そうやって明るく言う莉子だけど、どことなく寂しそうだ…。



雛人形、莉子のために飾ってあげたいな…。



「ねえ惺音ちゃん」



ご飯を食べ終わって、莉子がお風呂に入っている間に惺音ちゃんの部屋に入った。



「んー?」

「あのさ…莉子のために七段飾りっていうの? あれ、用意してあげたいんだけど…ダメ?」

「ああ、そういえばそうだね」



惺音ちゃんは快くOKしてくれた。



やったー!



そうと決まればサプライズだ!



ルンルンで惺音ちゃんの部屋から出たら煌くんと出くわした。



煌くんは眉間にしわを寄せてる。
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