神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
…。

俺、確かにコンソメ味のポテッコは嫌いじゃないけど。

でも、公言するほど好きだと言った覚えはないぞ。

それなのに。

「『ジュリス隊長は、ポテッココンソメ味が大好きで、一日一回食べなかったら禁断症状が出るんですよ』って言ってた」

「そこまで…!?」

…いつから俺、そんなポテッコ中毒になったんだ?

そんなこと言った覚え、一切ないんだが?

チョコレート中毒のシルナ・エインリーじゃないんだから。

どういうことだよ?勝手な噂を流さないでくれよ。

ベリクリーデの部下は一体どういうつもりで、そんな根も葉もないデタラメを、

「私はね、最初、ポテッコのきゃろらいなりーぱー?って味が欲しかったの」

「きゃ…キャロライナリーパー…!?」

…そんな味があるのか?嘘だろ?

この間のパピッコのブートジョロキア味といい、世間では激辛が流行ってるのか?

やめといた方が良いぞ。

悪いこと言わないから、精々ピリ辛くらいに抑えておけ。

味覚が壊れるぞ。

とはいえベリクリーデは、何も辛いものが好きだから、ブートジョロキア味だの、キャロライナリーパー味だのを選ぼうとしているのではなく。

ただ単に、「パッケージが赤くて可愛いから」とか、そんな浅はかな理由なのだろう。

「ベリクリーデ…。お前、キャロライナリーパーが何なのか、知ってるのか?」

「…?赤くて可愛かったの」

ほらな。言わんこっちゃない。

そんなことだろうと思ったよ。

良いか、危険なんだ。キャロライナリーパーも、ブートジョロキアも、常人が気軽に口にして良いものじゃないんだよ。

お使いに同行したベリクリーデの部下が、何故俺にコンソメポテッコ中毒の汚名を着せたのか、やっと分かった。

激辛ポテッコに手を伸ばそうとするベリクリーデを止めようと、苦し紛れのデタラメでも口にするしかなかったのだ。

…止めてくれてありがとうな。

かと言って、「一日食べなかったら禁断症状が出る」は、言い過ぎだが。

「ジュリスがコンソメ味好きだって言うから、コンソメ味にしたの」

「そうか…。まぁ、そういうことにしておくよ…」

「ジュリスがそんなにポテッコ好きだったなんて、知らなかったなー」

「あぁ…。俺も知らなかったよ…」

「一緒に食べよ、ジュリス。ね」

「はいはい、分かった分かった」

…今頃、キュレムとルイーシュの二人は。

キルディリア魔王国で、綱渡りのような危険な任務に準じているというのに。

俺はと言えば、ベリクリーデと二人で、ポテッココンソメ味を齧っている。

何だか申し訳ないような、そんな昼下がりである。
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