神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
いつまで続くんだろうな、あの戦争。

いい加減…もういい加減、やめてくれれば良いのに…。

「ルーデュニア聖王国への、直接的な脅威は去ったとはいえ…。…かの国では、まだ平和が戻っていません。今も戦火の陰に怯える、両国の民のことを思うと…私は…」

フユリ様は苦しそうな表情で、そう言った。

他国の民のことなど、知ったことじゃない。

そう言えたら、随分と楽になれるんだろうにな。

フユリ様には、それが出来ない。

心が優しいから。

他国の民のことでも、自国の民のように考えてしまうのだろう。

「特に…アーリヤット皇国は、現状、劣勢にあると聞いています」

「…そのようですね」

「キルディリア魔王国軍の力を見せつけ、アーリヤット皇国を牽制するのが目的なら、既にその目的は達しています。今が引き際のはずです」

さすがにフユリ様も、分かっていたようだ。

ここいらが、戦争の「やめ時」だと。

だけど…キルディリア魔王国軍は、一歩も引く様子を見せない。

それどころか、ますます勢いづいている有り様。

…最悪、このまま。

アーリヤット皇国を完全に征服し、手中に収めるまで止まらないだろう。

「それなのに、まだ戦争は続いている…。とすると、キルディリア魔王国のイシュメル女王の目的は…」

「…神聖アーリヤット皇国本土の侵略、でしょうか」

「…。…考えたくはありませんが、そうでしょうね」

…やはり、そうか。

フユリ様の見解も…。俺達の予想と同じだったようだ。

「どうしてそのようなことを…。確かに、キルディリア魔王国に悲しい歴史があることは知っています。だけど…それは、今を生きるアーリヤット皇国の民には、関係のないことなのに…」

フユリ様は、胸の前でぎゅっと手を握り締めた。

…まったくだ。
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