神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
キルディリア魔王国…イシュメル女王は、アーリヤット皇国で起きたデモに、屈するどころか。

そのデモを鎮圧する為に、武力をもって抑えつけようとしているのだ。

更に…今のアーリヤット皇国民にとっては、希望の星であるナツキ様の命を盾に取り。

言うことを聞かないなら、今度こそナツキ様を殺してしまうぞ、と脅している。

ハナからイシュメル女王は、何かあった時の為の人質にするつもりで、ナツキ様を生かして、捕虜にしたのだろう。

ナツキ様のことを慕うアーリヤット皇国民にとっては、何より有効な人質だ。

イシュメル女王の狡猾さが、遺憾無く発揮されてるな。

しかし、イシュメル女王がやったことは、それだけではなかった。

フユリ様の報告は、まだ続きがある。

「それから、同時にイシュメル女王は…我が国にも通達してきました」

「ルーデュニア聖王国にも?…何を?」

「我が国がキルディリア魔王国に送り込んだスパイ…。キュレムさんとルイーシュさんの身柄を引き渡せ、と」

「…」

…成程、そう来たか。

どうやらイシュメル女王は…相当ご立腹らしいな。

アーリヤット皇国民が起こしたデモの責任を、キュレムとルイーシュに取らせるつもりか。

確かに、デモのきっかけを作ったのは、あの二人だが。

そもそも、強引な方法でアーリヤット皇国を乗っ取り、圧政を敷いて支配しようとしたのは、キルディリア側だからな。

自分達がやったことの報いを、キュレムとルイーシュに受けさせようとは。

責任転嫁も甚だしいじゃないか。

「当然ですが、私は抗議しました。キュレムさんとルイーシュさんは、私が守るべき、大事なルーデュニア聖王国の国民の一人なのですから」

フユリ様は、きっぱりと答えた。

「…そうですよね…」

おっしゃる通り…なのだが。

果たして、あのイシュメル女王が、それで満足して引き下がってくれるかどうか。

「それに、同じく我が国の国民であるベリクリーデさんを、勝手にキルディリア魔王国に連れ去った…。これは許せることではありません。この件についても、私はイシュメル女王に抗議したのですが…」

「いやー。そんなこと言っても無駄だと思うけどねー」

「そもそも、聞く耳持たないでしょ?」

…すぐり、それに令月。

この際もう…フユリ様に対するタメ口には、目を瞑るとして。

もうちょっと、こう…言い方。

せめてもう少し、オブラートに包んで言ってくれよ。
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