神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
前回、シルナ・エインリー達がキルディリア魔王国軍と戦った時。

あの時は、キルディリア軍をイーニシュフェルト魔導学院に引き入れてから、応戦した。

謂わば、自分達のホームで戦ったのだ。

だけど、今回は違う…。住み慣れた学院ではなく、よその土地の…本物の戦争。本物の戦場だ。

戦場には、独特の雰囲気…独特の空気というものがある。

こればかりは…経験した者でなければ分からないことだ。

戦場というのは、「普通じゃない」場所だ。

命を奪い合う場所なのだから、それも当然だが。 

そして人の命を奪うという行為は、普通の神経では出来ない。

「普通じゃない」場所に、「普通じゃない」人々が集まって、「普通じゃない」命の奪い合いをする。

あのひりつくような空気、切迫感、緊張感…。渦巻く痛み、苦しみ、混沌。そのすべて。

あれは、経験した者でなければ分からない。

俺は…それなりに長く生きてきて、様々な世界の、様々な国を巡って。

その中で、何度となく…国と国との争い、民族同士の争い、宗教的な争い…。色々な争いに巻き込まれてきた。

このルーデュニア聖王国に流れ着いて以来は、シルナ・エインリーの庇護のもと、ずっと平和に暮らしてきたが。

平和なのは良いことだが、その反面…良くも悪くもルーデュニア人は、戦争というものを知らない。

だから、こうして…いざ危機に陥ると弱い。という側面がある。

平和故の弊害だな。

「ですから、この中で戦争の経験がある方のみ、僕と共にアーリヤット皇国に来て欲しいと思ってます」

シルナ・エインリーが指名した指揮官のナジュが、そう宣言した。

…そうだな。

経験せずに済むのなら、絶対にその方が良いに決まってる。

「そう…。…ですか」

暗に「お前は戦力外」と言われ、シュニィは意気消沈していた。

いや、お前は何も悪くないからな。

むしろ良いことじゃないか。戦争を知らないんだから。

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