神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
「悪いことは言わねぇ。アトラス、あんたはやめとけ。シュニィの足を引っ張りたくなければな」

「うぐ…。ぐぬぬ…」

唸るアトラス。

クマみたいだな。失礼だけど。

「何とか…。魔導師を装って…」

「無理だろ…。入国時に魔法を使わせられて、証明書を発行されるんだぞ。絶対バレるぞ」

「うぐぐぐ…」

…うん。俺も無理だと思う。

思い出す。俺とシルナが、キルディリア魔王国に入国した時。

厳しい入国審査官から向けられる、「お前、本当に魔導師なんだろうな?」という、鋭い視線。

魔法を使ってみせると、人が変わったように親切な態度に変わったが。

魔法が使えないアトラスに対しては、ずっとあの冷たい態度なんだろ?

人によって、あれほど露骨に態度を変えるのはどうかと思うぞ。

それでも、やはり愛するシュニィを、一人で異国へ送り出すことは躊躇われたのか。

「何とか…。…そうだ、荷物…。スーツケースの中に潜り込んで、荷物として潜入を…」

「…不法入国だからな、それ。あと絶対バレるから。無理だ」

…気持ちは分かるが、アトラス。

いよいよ苦しいぞ。

そして、ついに。

「アトラスさん。あなたはルーデュニア聖王国に残って、アイナとレグルスの傍にいてあげてください」

「…!」

シュニィに、優しい口調でそう頼まれ。

打ちひしがれていたアトラスは、はっとして顔を上げた。

「週末に、アイナと遊んであげる約束をしてたじゃないですか」

「そうだった…!アイナと一緒に、山賊狩りごっこをする約束をしていたんだ」

思わず、噴き出してしまうかと思った。

何?山賊狩りごっこって。

「遊び方、バイオレンス過ぎるだろ」

「親子で、笑顔で山賊狩りごっこに興じていると思うと、狂気ですね」

キュレム、ルイーシュ。それを言うなって。

アトラスは、至って真面目なんだぞ。

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