神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
キルディリア魔王国は常に、ゴールドカードの魔導師…上級魔導師となり得る、優秀な魔導師を求めている。

…丁度、シュニィのような。

イシュメル女王は、今度はシュニィをキルディリア魔王国に軟禁しようとするかもしれない。

もしそんなことになったら、アトラスに申し訳が立たない…。

…と言うか、マジでアトラスは、大剣片手にキルディリアに乗り込みかねない。

想像しただけで恐ろしい。

…すると。

「ならば、俺が同行しよう」

自ら、シュニィと共にキルディリア行きを志願したのは。

「無闇…。…良いのか?」

聖魔騎士団魔導部隊大隊長の一人、『死火』の守り人、無闇だった。

無闇も、シュニィに負けず劣らずの魔導師である。

そんな無闇がシュニィについていてくれれば、これほど頼もしいことはないが…。

キルディリア行きには、少なからぬ危険が伴う。

無闇だって、それは分かっているはずだ。

「分かってると思うが…。…キルディリアに行ったら、何があるか分からないんだぞ」

最悪、二度と戻ってこられないかもしれない…。

…いや、そんなことは絶対させないが。

それでも無闇は、けろっとした様子で。

「シュニィや他の皆とは違って、俺には失うものは何もない」

と、言い放った。

…何言ってんだ、馬鹿。

ナジュみたいなこと言いやがって。

「だけど、お前が帰ってこなかったら、俺もシルナも…皆、困るんだからな」

「…何に困るんだ?」

「困るったら困るんだ。絶対無事に帰ってこいよ。…シュニィと一緒に」

「…。…分かった」

納得行かなそうだったが、無闇はそれでも、素直に頷いた。

そう。それで良い。

すると、俺達のやり取りを聞いていたらしい、月読が。

無闇の背後に、守護霊のようにふわりと姿を現した。

「えー!外国?外国に行くの?無闇くん」

「そうだ。キルディリア魔王国だ」

「ふーん?まぁ、何処でも良いや。海外旅行なんて、久し振りだね〜!」

…何やら、ハイテンションな月読。

悪いけど、多分、そんな楽しい旅行ではないぞ。

「シュニィちゃん。無闇君…。…気を付けてね。必ず、無事に帰ってきて」

シルナが、シュニィと無闇に言った。

「はい。きっとイシュメル女王を説得してみせます」

意気込んだシュニィは、力強く頷いたのだった。
< 30 / 328 >

この作品をシェア

pagetop