神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
…イシュメル女王が、無事に立ち去った後。
「…はぁ…」
思いっきり脱力したシルナは、へなへなとその場にへたり込んだ。
歳だな。
「羽久が…私に失礼なことを考えてる気がする…」
「大丈夫か?腰でも痛めたか」
「違うよ…。何とか穏便に済ませることが出来て…ホッとして…」
あぁ、それで気が抜けてしまったのか。
…気持ちは分かるが。
「キルディリア軍が完全に撤退するまでは、まだ安全とは言えないよね?」
「ナジュせんせー達のことも、気になるよねー。イシュメル女王が尻尾巻いて帰ったって、伝えに行ってあげないとさー」
令月とすぐりは、女王が立ち去った後も、相変わらずけろっとしていた。
元気だな、お前達は。
でも、確かに、ナジュ達のいる…野戦病院兼、司令本部にも向かわなくては。
ナツキ様を無事に連れて帰ってきたこと、そしてイシュメル女王が撤退したことを。
一刻も早く、彼らにも伝えてあげたい。
きっと、落ち着かない気分で待ってるだろうから。
すると、マシュリが再び、神竜バハムート形態に『変化』した。
「じゃあ、僕が連れて行くよ。二人共、また背中に乗って」
「ありがとう、遠慮なく乗るよ」
「便利だよねー、このマシュタク、癖になりそうだなー」
令月とすぐりは、ひょいっ、とマシュリの背中に飛び乗った。
…お前らって奴は。
そりゃ確かに、マシュリに運んでもらえば、自分の足で移動するよりずっと速いけども。
マシュリが、俺とシルナに声をかけた。
「羽久とシルナも乗っていく?」
「あ、いや…。俺は…」
…俺は良いとして、シルナは。
帰ってきたナツキ様に…何か、伝えたいこととか…話したいことがあるんじゃないか、と思って。
ちらりとシルナの方を見ると、案の定。
「ナツキ様…。…無事に戻ってくることが出来て、何よりです。…フユリ様も、ナツキ様のことを心配しておられました」
「…」
シルナが話しかけても、無言を貫くナツキ様。
拳を、固く握り締めたままである。
フユリ様の話が出ると、途端にこれだ。
「キルディリア軍が撤退したとはいえ、国内の治安はまだ安定していません。私達に協力出来ることがあれば、何でも…」
「…必要ない。この国は俺の国だ。これ以上、部外者に手を出されたくない」
「…」
シルナが協力を申し出ても、天邪鬼なナツキ様は、すげなく却下した。
「これ以上の馴れ合いは不要だ。自分の国に帰れ」
「…ですが…。ナツキ様…」
おい。なんだこの態度は。
フユリ様の頼みだからとはいえ、アーリヤット皇国の危機を救ったのだから、もう少し言い方ってものが、
「…ただ、アーリヤット皇国に手を貸してくれたこと、俺をキルディリア魔王国から救い出してくれたことは、感謝している」
「…ナツキ様…」
…何だよ。
意外と…素直なところもあるじゃないか。
助けてくれたことは感謝する。だから…これ以上は、自分で何とかする。
…まぁ、ナツキ様は元々、プライドの塊みたいな人だからな。
むしろ、この人が俺達に、素直に「助けてください」と頭を下げてきたら。
逆に、キルディリア魔王国で洗脳でも受けたんじゃないかと、ナツキ様の身を心配してしまうことだろう。
…その言葉を聞けただけで、充分だ。
「…シルナ、帰ろう」
俺は、シルナに手を差し出した。
「羽久…」
「ここはもう大丈夫だ。だから…俺達は、俺達の国に帰ろう」
帰る場所があるんだから。俺達には。
「…うん、そうだね」
シルナは微笑んで、俺の手をしっかりと握った。
「…はぁ…」
思いっきり脱力したシルナは、へなへなとその場にへたり込んだ。
歳だな。
「羽久が…私に失礼なことを考えてる気がする…」
「大丈夫か?腰でも痛めたか」
「違うよ…。何とか穏便に済ませることが出来て…ホッとして…」
あぁ、それで気が抜けてしまったのか。
…気持ちは分かるが。
「キルディリア軍が完全に撤退するまでは、まだ安全とは言えないよね?」
「ナジュせんせー達のことも、気になるよねー。イシュメル女王が尻尾巻いて帰ったって、伝えに行ってあげないとさー」
令月とすぐりは、女王が立ち去った後も、相変わらずけろっとしていた。
元気だな、お前達は。
でも、確かに、ナジュ達のいる…野戦病院兼、司令本部にも向かわなくては。
ナツキ様を無事に連れて帰ってきたこと、そしてイシュメル女王が撤退したことを。
一刻も早く、彼らにも伝えてあげたい。
きっと、落ち着かない気分で待ってるだろうから。
すると、マシュリが再び、神竜バハムート形態に『変化』した。
「じゃあ、僕が連れて行くよ。二人共、また背中に乗って」
「ありがとう、遠慮なく乗るよ」
「便利だよねー、このマシュタク、癖になりそうだなー」
令月とすぐりは、ひょいっ、とマシュリの背中に飛び乗った。
…お前らって奴は。
そりゃ確かに、マシュリに運んでもらえば、自分の足で移動するよりずっと速いけども。
マシュリが、俺とシルナに声をかけた。
「羽久とシルナも乗っていく?」
「あ、いや…。俺は…」
…俺は良いとして、シルナは。
帰ってきたナツキ様に…何か、伝えたいこととか…話したいことがあるんじゃないか、と思って。
ちらりとシルナの方を見ると、案の定。
「ナツキ様…。…無事に戻ってくることが出来て、何よりです。…フユリ様も、ナツキ様のことを心配しておられました」
「…」
シルナが話しかけても、無言を貫くナツキ様。
拳を、固く握り締めたままである。
フユリ様の話が出ると、途端にこれだ。
「キルディリア軍が撤退したとはいえ、国内の治安はまだ安定していません。私達に協力出来ることがあれば、何でも…」
「…必要ない。この国は俺の国だ。これ以上、部外者に手を出されたくない」
「…」
シルナが協力を申し出ても、天邪鬼なナツキ様は、すげなく却下した。
「これ以上の馴れ合いは不要だ。自分の国に帰れ」
「…ですが…。ナツキ様…」
おい。なんだこの態度は。
フユリ様の頼みだからとはいえ、アーリヤット皇国の危機を救ったのだから、もう少し言い方ってものが、
「…ただ、アーリヤット皇国に手を貸してくれたこと、俺をキルディリア魔王国から救い出してくれたことは、感謝している」
「…ナツキ様…」
…何だよ。
意外と…素直なところもあるじゃないか。
助けてくれたことは感謝する。だから…これ以上は、自分で何とかする。
…まぁ、ナツキ様は元々、プライドの塊みたいな人だからな。
むしろ、この人が俺達に、素直に「助けてください」と頭を下げてきたら。
逆に、キルディリア魔王国で洗脳でも受けたんじゃないかと、ナツキ様の身を心配してしまうことだろう。
…その言葉を聞けただけで、充分だ。
「…シルナ、帰ろう」
俺は、シルナに手を差し出した。
「羽久…」
「ここはもう大丈夫だ。だから…俺達は、俺達の国に帰ろう」
帰る場所があるんだから。俺達には。
「…うん、そうだね」
シルナは微笑んで、俺の手をしっかりと握った。