神殺しのクロノスタシス7〜後編〜
よっしゃ。こうなったら。

「ルイーシュ、並ぼうぜ」

「食べるんですか?…お粥」

「ほら、腹いっぱい焼肉食べて家に帰った後、無性にお茶漬け食べたくなる時、あるだろ?」

「あー…。…成程」

分かってくれたようで何よりだよ。

じゃ、並ぶか。

俺とルイーシュは、行列の最後尾に並んだ…の、だが。

「…」

「…」

…ん?

俺達が、列に並ぶなり。

先に行列に並んでいたキルディリア国民達が、物珍しそうに、ちらちらとこちらを見ていることに気付いた。

…何?何すか?その反応。

「…なぁ、ルイーシュ。俺ら、ちらちら見られてね?」

「…見られてますね」

だよな。気の所為じゃないよな?

何見てんだよ。見世物じゃねーんだぞ。

俺は、人にじろじろ見られたら、人をじろじろ見つめ返す主義なので。

同じように、ちらちら盗み見てやったら。

彼らはバツが悪くなったのか、次々と視線を逸らした。

よし。

「…って、よしじゃないが」

「…嫌な視線ですね」

…だよな?

「なんでここにいるの、この人達?」…みたいな視線だ。

なんで?何が駄目なんだ?

顔になんか付いてるだろうかと、手の甲で顔をゴシゴシ擦ってみた。

どう?取れた?

それでも、やっぱり何処かしこから、老若男女の視線を感じる。

「外国人だよ、見て見て」みたいな…ことじゃないよな。

だって、この国に来てからというもの。

国籍を尋ねられたことなんて一度もないし、そもそも見た目だけじゃ、俺達が外国人だってことは分からないはずだ。

俺がもし、スパイじゃなかったら…。

「何見てんだ、見世物じゃねーんだぞ。おぉん!?」って問い詰めるんだが。

今の俺達は、目立つ訳にはいかない。

既に目立ってるような気もするけど。

変な気分だなぁ、嫌な空気だな…と、思いながら。

落ち着かない気分で、行列に並び続けた。

ルイーシュは全然気にしてないようで、しれっとしていたが。

こいつは図太いからな。

…そのまま、待つこと15分ほど。

列は長かったが、客の回転率は良いようで、思ったより早く順番が回ってきた。

おっ、来た来た…。

店内に入ると、古ぼけたカウンターがあり。

そこに、くたびれたエプロンをかけた店員が、いかにも疲れたような顔で、ぞんざいに接客していた。

俺達がカウンターの前に来ても、「お待たせしました」どころか、「いらっしゃいませ」もなく。

「いくつ?」

と、尋ねてきた。

え、いくつ?

「何にしますか?」とかじゃかいの?つーか、メニューは何処に?

その時、俺は気づいた。

周囲で、お粥を食べているお客人達。

彼らはみな、誰も、同じメニューを口にしているのだ。

もしかしてこのお店、一つしかメニューがないのか。

それなら、「何にするか?」じゃなくて、「いくつ?」と質問する、その理由も理解出来る。

…ぞんざいな態度なのは、いただけないが。

成程、アレだな、きっと。

ほら、昔ながらの老舗の有名店ってさ、職人気質の、愛想のない店主がいることって、あるじゃん?

老舗だからって、一応客商売なんだからさぁ。

最低限の愛想ってものは、必要だと思うけどね。

しょうがない。そういうお店もある。

「えーと…。二人だから、二つ…」

「二杯ね。じゃあお代…。…え?」

「は?」

その時、愛想の悪い店員は、ぽかんとしてこちらを見つめていた。

…。

…なんすか?
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