豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網
「確かに先輩には申し訳ないことをしました。嫌がらせが、あんなにエスカレートするとは思っていなくて。それもあって謝りたかった。すみませんでした。辛い思いをさせて」
「別にあれくらいどうって事ないわよ。まぁ流石に、仕事に直結する嫌がらせは勘弁だったけどね。貴方も独り立ちね。明日からは、新しい子がサポートに就くと思うから、その子への嫌がらせは自分で何とかしなさいよ。私みたいな女の方が珍しいから」
「ご忠告ありがとうございます。最後に握手しませんか? 仲直りのしるしに」
別に喧嘩をしていたつもりもないけど……
差し出された手を見つめ、そんな可愛げのないことを思いつつ手を重ねた瞬間、引き寄せられた。
「――っ!? ちょっ……」
「騒がない方が良いですよ。こんなところ同僚に見られたくないでしょ、経験豊富なお姉さん。クリスマスイブ……」
彼の言葉に衝撃を受け、思わず見上げると、笑みを浮かべた瞳に囚われ、息をのむ。
「貴方の誕生日でしたっけ? それも三十歳の節目の誕生日だった。プロポーズしてくれると信じていた彼氏に振られ、小洒落たBARでヤケ酒して、哀れな失恋男を襲った記念すべき誕生日だった」
頭の中でガンガンと警鐘が鳴り響く。
「な、なんで知って……」
見上げた先の奴の唇が弧を描き、鋭い視線に貫かれ身動きが取れない。
あの日の事をなんで知っているの?
初めて『橘真紘』に会った時の既視感を思い出す。
目の前の男とクリスマスイブに一夜を共にした名前も知らない男は同一人物。
そんな偶然って……
彼は私を恨んでいる。だますように彼を襲ったのだから当然だ。
「冬野先輩……、そんな怯えた目で見ないでください。別に取って喰おうってわけじゃない。今はね。せっかく再会出来たことですし、一緒に昔話に花を咲かせるのも良いかなってね。付き合ってくれますよね?」
あまりの恐怖に首を横に振ることしか出来ない私に残酷なひと言が告げられる。
「貴方に拒否権がないのは分かりますよね?」
彼はいったい私に何を要求するつもりなのか?
暗澹《あんたん》たる気持ちのまま、彼の言葉にただ頷くことしか出来なかった。
「別にあれくらいどうって事ないわよ。まぁ流石に、仕事に直結する嫌がらせは勘弁だったけどね。貴方も独り立ちね。明日からは、新しい子がサポートに就くと思うから、その子への嫌がらせは自分で何とかしなさいよ。私みたいな女の方が珍しいから」
「ご忠告ありがとうございます。最後に握手しませんか? 仲直りのしるしに」
別に喧嘩をしていたつもりもないけど……
差し出された手を見つめ、そんな可愛げのないことを思いつつ手を重ねた瞬間、引き寄せられた。
「――っ!? ちょっ……」
「騒がない方が良いですよ。こんなところ同僚に見られたくないでしょ、経験豊富なお姉さん。クリスマスイブ……」
彼の言葉に衝撃を受け、思わず見上げると、笑みを浮かべた瞳に囚われ、息をのむ。
「貴方の誕生日でしたっけ? それも三十歳の節目の誕生日だった。プロポーズしてくれると信じていた彼氏に振られ、小洒落たBARでヤケ酒して、哀れな失恋男を襲った記念すべき誕生日だった」
頭の中でガンガンと警鐘が鳴り響く。
「な、なんで知って……」
見上げた先の奴の唇が弧を描き、鋭い視線に貫かれ身動きが取れない。
あの日の事をなんで知っているの?
初めて『橘真紘』に会った時の既視感を思い出す。
目の前の男とクリスマスイブに一夜を共にした名前も知らない男は同一人物。
そんな偶然って……
彼は私を恨んでいる。だますように彼を襲ったのだから当然だ。
「冬野先輩……、そんな怯えた目で見ないでください。別に取って喰おうってわけじゃない。今はね。せっかく再会出来たことですし、一緒に昔話に花を咲かせるのも良いかなってね。付き合ってくれますよね?」
あまりの恐怖に首を横に振ることしか出来ない私に残酷なひと言が告げられる。
「貴方に拒否権がないのは分かりますよね?」
彼はいったい私に何を要求するつもりなのか?
暗澹《あんたん》たる気持ちのまま、彼の言葉にただ頷くことしか出来なかった。