豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網
優しい温もり
「はい。どうぞ」
差し出されたタオルを受け取ると、ポタポタと雫が落ちる髪を無造作に拭き、雨に濡れたコートをハンガーに掛け、彼に手渡す。
「ワンピースはあまり濡れてないようで良かった。そこのソファで待っていてください。何か飲み物持って来ますから」
部屋から出て行く彼を見送り、小さなため息をこぼす。
何やってんだろ、私。
誕生日に彼氏に振られたからって、自棄《やけ》になって他人様に迷惑かけて、本当馬鹿みたい。
見知らぬ男に連れられて来たのは繁華街の路地裏にある一軒のBARだった。従業員専用の裏口から入り、バックヤードの休憩室へと来た訳だが……
扉を開ける音にうなだれていた顔を上げると、目の前に湯気が立つマグカップが置かれた。
「ホットミルクですけど飲めますか?」
コクンと頷き、マグカップを手に取り口をつければ甘いミルクの味と温かさが口内に広がり、仄かなブランデーの香りが鼻腔をくすぐる。冷え切った身体にしみ渡る温かさが、傷ついた心まで癒やしてくれるようで目頭が熱くなる。
「少し落ち着いたら帰った方がいい。タクシー呼びますので声かけてください。店内のカウンターで軽く飲んでますので」
「まっ、待って! お願い。一人にしないで」
面倒臭い女だと自分でも思う。自棄になって、迷惑をかけて、なのに見知らぬ男の優しさにすがろうとしている。
「……分かりました。少し店内で飲みますか? 今の時間なら、ほとんど客もいないと思うし、一人でいるより気がまぎれるでしょ」
彼の優しさが、ただただ嬉しかった。
差し出されたタオルを受け取ると、ポタポタと雫が落ちる髪を無造作に拭き、雨に濡れたコートをハンガーに掛け、彼に手渡す。
「ワンピースはあまり濡れてないようで良かった。そこのソファで待っていてください。何か飲み物持って来ますから」
部屋から出て行く彼を見送り、小さなため息をこぼす。
何やってんだろ、私。
誕生日に彼氏に振られたからって、自棄《やけ》になって他人様に迷惑かけて、本当馬鹿みたい。
見知らぬ男に連れられて来たのは繁華街の路地裏にある一軒のBARだった。従業員専用の裏口から入り、バックヤードの休憩室へと来た訳だが……
扉を開ける音にうなだれていた顔を上げると、目の前に湯気が立つマグカップが置かれた。
「ホットミルクですけど飲めますか?」
コクンと頷き、マグカップを手に取り口をつければ甘いミルクの味と温かさが口内に広がり、仄かなブランデーの香りが鼻腔をくすぐる。冷え切った身体にしみ渡る温かさが、傷ついた心まで癒やしてくれるようで目頭が熱くなる。
「少し落ち着いたら帰った方がいい。タクシー呼びますので声かけてください。店内のカウンターで軽く飲んでますので」
「まっ、待って! お願い。一人にしないで」
面倒臭い女だと自分でも思う。自棄になって、迷惑をかけて、なのに見知らぬ男の優しさにすがろうとしている。
「……分かりました。少し店内で飲みますか? 今の時間なら、ほとんど客もいないと思うし、一人でいるより気がまぎれるでしょ」
彼の優しさが、ただただ嬉しかった。