豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網
「こんな話、鈴香さんにして良いのか分からないけど……。真紘さんって、たぶん鈴香さんが思っている以上に優しくて芯のある人だと思うよ。確かに女癖悪いし、性に奔放な態度取るから普通の女性からしたら、クズ男に見えるかもしれないけど、仲間内ではかなり評判良いって言うか、簡単に言うと兄貴肌な所があるんだよ。本気で困っている仲間は見捨てないんだよ、あの人。まぁ、俺も真紘さんに救われた口なんだけどね。馬鹿やったせいで、バイトもクビになって、明日の生活にも困窮していた俺に、ココで働けるように口利きしてくれたのも真紘さんなんだ。当時、知り合って半年も経っていない俺にさ。もちろん中には、真紘さんの顔目当てで寄ってくる女のおこぼれを狙う奴らもいるけど、あの人の周りには、真紘さんの性格や漢気に心酔して側にいる奴らも一定数いるのも事実で……」
橘の優しさなんて知っている。
一緒にいる時間が増えれば増える程、変わっていった印象。優しくて芯のある人。
目の前の彼が語る『橘真紘』が本来の姿だって今なら分かる。
「優しい人……」
「だからこそ不思議なんだよなぁ? 女性に対する扱いが雑というか……。どこか遊び相手の女に向ける視線が冷たいんだよ。たぶん、言い寄ってくる女達を軽蔑していたんじゃないかな。いい雰囲気になった女が、他の男に言い寄られようが、お持ち帰りされようがガン無視だったしね。それが鈴香さんだけは違ったからさ、仲間内では真紘さんの本命現わるって一時大騒ぎになってたんだよ」
確かに、恋人契約をしていた時の橘の態度は悲惨だった。相手を思いやるなんて事は皆無で、やりたいように振る舞う暴君そのもの。遊び相手の女達も気に入らなければ簡単に切り捨てて来たのだろう。
全てを諦めたような空虚な瞳から覗く、苛立ちや悲しみを私は確かに感じ取っていたのだ。
『橘真紘』の過去には、女という生き物を軽蔑し恨むほどの何かがあった。その原因が、吉瀬美沙江……
「橘君は、昔から女性にはそんな態度だったの?」
「俺が出会った頃の真紘さんと今の真紘さんはあまり変わらないと思います」
「そう……。昔、何かあったのかしらね?」
「さぁ? たぶん誰も知らないと思う。真紘さん、過去を話したがらないから」
女という存在を憎むほど心に傷を負った橘が、原因となった女に再会した。それは、果たして彼にとって喜ばしいことなのだろうか……
空になったグラスの中で溶けた氷がぶつかりカラッと音を立てる。
そんなこと、今さら私が気にしたって仕方ないわね。
「ご馳走さま。また来るわ」
席を立つと、目の前の彼に手を振り店を後にした。
橘の優しさなんて知っている。
一緒にいる時間が増えれば増える程、変わっていった印象。優しくて芯のある人。
目の前の彼が語る『橘真紘』が本来の姿だって今なら分かる。
「優しい人……」
「だからこそ不思議なんだよなぁ? 女性に対する扱いが雑というか……。どこか遊び相手の女に向ける視線が冷たいんだよ。たぶん、言い寄ってくる女達を軽蔑していたんじゃないかな。いい雰囲気になった女が、他の男に言い寄られようが、お持ち帰りされようがガン無視だったしね。それが鈴香さんだけは違ったからさ、仲間内では真紘さんの本命現わるって一時大騒ぎになってたんだよ」
確かに、恋人契約をしていた時の橘の態度は悲惨だった。相手を思いやるなんて事は皆無で、やりたいように振る舞う暴君そのもの。遊び相手の女達も気に入らなければ簡単に切り捨てて来たのだろう。
全てを諦めたような空虚な瞳から覗く、苛立ちや悲しみを私は確かに感じ取っていたのだ。
『橘真紘』の過去には、女という生き物を軽蔑し恨むほどの何かがあった。その原因が、吉瀬美沙江……
「橘君は、昔から女性にはそんな態度だったの?」
「俺が出会った頃の真紘さんと今の真紘さんはあまり変わらないと思います」
「そう……。昔、何かあったのかしらね?」
「さぁ? たぶん誰も知らないと思う。真紘さん、過去を話したがらないから」
女という存在を憎むほど心に傷を負った橘が、原因となった女に再会した。それは、果たして彼にとって喜ばしいことなのだろうか……
空になったグラスの中で溶けた氷がぶつかりカラッと音を立てる。
そんなこと、今さら私が気にしたって仕方ないわね。
「ご馳走さま。また来るわ」
席を立つと、目の前の彼に手を振り店を後にした。