大嫌いなパイロットとのお見合いはお断りしたはずですが
「ん……っ」
「甘いな……」

 知らず潤んだ目で見あげると、朋也が艶っぽいため息をついた。
 なんて凄絶な色香なんだろう。
 キスがこんなに熱っぽいものだなんて、知らなかった。

「思い知らせたいな。俺が美空を手に入れるために、どれだけ必死だったか――」
「え?」
「いや、そろそろベッドに運ばれる気になった?」
「ぅえ!?」
「俺はここでもいいけど」

 反射的に激しくかぶりを振ると、くすりと笑った朋也に抱き寄せられた。首に熱い舌を這わされて仰け反ったとき、がっしりとした腕に抱きあげられる。
 あれよあれよというまに寝室に運ばれ、美空の背中が広いベッドに沈んだ。
 朋也が覆い被さってくる。シャワーを浴びたいというささやかな希望は却下され、美空は強く抱きしめられた。
 肌をゆっくりと、それでいてたしかな手つきで暴かれていく。
 心臓の暴走が止まらない。
 羽根で触れるのに似た繊細さで触れられるのが、意外だった。おかげで、まるで自分が極上の絹布にでもなったかのようだった。
 それでいて、朋也の触れかたには逃げられないと思わせる容赦のなさが潜んでいる。
 抱きすくめる腕の強さや、食べ尽くさんばかりに這わされる舌の熱さや、肌の隅々までを見つめる目の色っぽさ。
 それらが美空の体を捕らえ、ぐずぐずに溶かしていく。
 強い熱情を孕んだ目で見つめられたら、溺れそうな気分にさせられる。
 何度も甘い吐息が漏れた。

「あ、あ……っ」

 すっかり熟れて火照った体が、朋也を受け入れてびくんと跳ねる。
 思わずさまよわせた手は、朋也に握りこまれた。深く指が絡まる。朋也が汗ばんだ体を繰り返し打ちつける。

「とも、や……っ」
「――好きだよ、美空。めちゃくちゃ好きだ」

 ひときわ深く打ちつけられたら、この夜の記憶だけで胸がいっぱいだと美空は思った。 
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