大嫌いなパイロットとのお見合いはお断りしたはずですが
朋也は涼しい顔で答えた。そうすると、端整な顔立ちがいっそう引き立つ。
細めの眉は流麗な線を描き、すっと通った鼻梁やラフにととのえられた黒髪が縁取るシャープな輪郭とともに、朋也が紛れもない美形であることを決定づけている。
鋭くも知性を感じる切れ長の目は常に冷静さを漂わせており、動揺や狼狽といった感情が宿ることがない。
細身だが、シャツの下の体は鍛えられた男のそれだ。
長身も手伝って、朋也がさわやかな紺色の制服を着て歩くと、広報が雇った外部のモデルに間違えられることもあった。
「ごもっともです。しかし沖形君の実力でしたら、機長昇格試験が始まるという噂もあながち伊達じゃないですね」
名取が苦笑する。この機長は常にていねいな物腰で、部下に対しても敬語を使う。
「まだ737の型式限定を取得したばかりですよ」
「ですが、なるんでしょう? 機長に」
「いずれは」
朋也が平然と返すと、名取が目を細めてから釘を刺した。
「そういうところが女性を惹きつけるんでしょうね。羨ましい限りです。今日のクルーも、沖形君が副操縦士だとわかるなり色めき立っていましたね。僕も独身なんですが、見向きもされませんでした」
「名取さんはパートナーがいそうな雰囲気を醸し出していますからね。皆、遠慮しているのではないでしょうか。俺もその雰囲気を身につけたいものです」
「嫌味でしょうか。困りましたね」
笑いまじりの会話が、緊張をほぐすのにちょうどいい。
といっても朋也が緊張をほとんど感じていないことなど、名取もお見通しだろう。
細めの眉は流麗な線を描き、すっと通った鼻梁やラフにととのえられた黒髪が縁取るシャープな輪郭とともに、朋也が紛れもない美形であることを決定づけている。
鋭くも知性を感じる切れ長の目は常に冷静さを漂わせており、動揺や狼狽といった感情が宿ることがない。
細身だが、シャツの下の体は鍛えられた男のそれだ。
長身も手伝って、朋也がさわやかな紺色の制服を着て歩くと、広報が雇った外部のモデルに間違えられることもあった。
「ごもっともです。しかし沖形君の実力でしたら、機長昇格試験が始まるという噂もあながち伊達じゃないですね」
名取が苦笑する。この機長は常にていねいな物腰で、部下に対しても敬語を使う。
「まだ737の型式限定を取得したばかりですよ」
「ですが、なるんでしょう? 機長に」
「いずれは」
朋也が平然と返すと、名取が目を細めてから釘を刺した。
「そういうところが女性を惹きつけるんでしょうね。羨ましい限りです。今日のクルーも、沖形君が副操縦士だとわかるなり色めき立っていましたね。僕も独身なんですが、見向きもされませんでした」
「名取さんはパートナーがいそうな雰囲気を醸し出していますからね。皆、遠慮しているのではないでしょうか。俺もその雰囲気を身につけたいものです」
「嫌味でしょうか。困りましたね」
笑いまじりの会話が、緊張をほぐすのにちょうどいい。
といっても朋也が緊張をほとんど感じていないことなど、名取もお見通しだろう。