客席にいない君へ
1-仲直りは延々の別れ
ARIA「キツイこといってごめん」
うつむき加減で、彼女は話し出した。
ARIA「わたし、不安なの、いつもいつもいつも…」
玲央「もういいよ、わかったから」
涙が流れるその綺麗な顔に、彼は右手を差し出し、拭った。
まるでテレビドラマか映画のワンシーンにでもあるかのような、甘いキスシーンをお詫びにして。
玲央の薄い唇が、ARIAの肉厚な唇から離れる。
ARIA「そうやって、何も聞かないのね。すぐにわかったかのように」
彼女はくぐもった声で、そして叫びを押し殺して、その頭は彼の胸元に押し込められた。
レオン「いいんだよ」
ARIA「わたしっ」
レオン「聞いて、ねえ」
その日、窓の外は雷雨で、空が2人のそれぞれの心をごちゃ混ぜにしているかのようだった。
彼は彼女の心を冷静に抑え続けた。
言いたいことがある、そう、ずっと前から、初めから、言えばよかったんだ。彼はこの事をきっと、延々と後悔することになる…
レオン「わたし、レオンは、ARIAを一生涯愛することを誓います」
これはこの先何があっても変わらなくて、これを聞いた彼女が子どものように泣き出したことも、この先変わらないのだろう。
雷が2人を照らした。暗闇の部屋に、2人の影が映し出される。
2人は、たった今、この世界で、1番惨めであった。
ただ、お互いを求めただけ。それだけだった。なのに、きっと、誰にも認められなくて、けれどどうしようもなく、密かに想いを馳せるしかなくて。