私のお姉ちゃん
家族
GW真っ只中。

高級住宅街。
大きな屋敷が並ぶ一つに、夏姫と暁也の自宅がある。
元々は夏姫と初姫の実家で、夏姫と暁也が最近リフォームしたばかりだ。
そこに初姫も一緒に住んでいる。

そして今日、屋敷の前に軽トラが止まった。

軽トラから、朱雨と朱雨の友人・平祐(へいすけ)が出てきた。

朱雨が、屋敷を見上げる。

やっと………
やっと、この日がきた。

「これからは、ずっと一緒にいられる……」

初姫が今年高校を卒業し、朱雨と初姫は籍を入れた。
そして今日、朱雨が暁也&夏姫宅に引っ越してきたのだ。

夏姫夫婦と同居になったのは、初姫との結婚にあたり夏姫が“同居することを”条件に提示してきたからだ。


「――――――ねぇ!朱雨!
早く開けてよ!」

これからの初姫との生活を想像し、幸せに浸っていると平祐が肩を叩き声をかけてきた。

「うん、ごめん」
ポケットから、鍵を取り出す。

「プッ…朱雨、似合わないキーホルダーだね(笑)」
鍵についていた、名前入りキーホルダー。
“SHU”というローマ字とハートが散りばめられていた。

「あー、ハツが鍵と一緒にくれたんだ!
ハツとお揃いらしい」

「初姫ちゃんが持つ分にはいいけど、朱雨はね……(笑)
色も、ピンクって…(笑)」

平祐がケラケラ笑うのをよそに、朱雨はその鍵で玄関ドアを開けた。

荷物を持ち、中に入る。
「ここ、暁也さんいるんだよね…?」

「うん。
ナツの旦那だしね」

「てか、同居なんて怖くね?
“あの”筒井 暁也だぞ?」

「いや、会ったらびっくりすると思う。
俺等の知ってる暁也さんじゃないから」

「え?」
平祐は、首を傾げていた。

朱雨と平祐は、リビングに一度挨拶に向かう。

「こんにちは」

すると、リビングのソファでテレビを見ていた暁也が振り向いた。

「おぅ!
朱雨、平祐もいらっしゃい!」
ふわりと微笑んで軽く手を振ってきた。

「暁也さんが……笑ってる……」
「ハツは?」
驚愕している横で、朱雨が暁也に問いかけた。

「買い物に出掛けたよ。
僕が行くって言ったんだけど、断られてね…(笑)」

「そうですか。
あ!暁也さん、今日からよろしくお願いします!」

「うん、こちらこそ!
さぁ、初姫が帰る前に荷解きしようか!」
そう言って立ち上がり、テレビの電源を切った。

暁也も入れて、三人でトラックから運び入れ荷解きをする。
初姫が使っている部屋に運び込んだ。

初姫が使っていたローテーブル、二人で買いに行ったダブルベッド、朱雨が今日運んできた二人掛けソファが置かれた部屋。
朱雨が引っ越すにあたり、インテリアを一掃したのだ。

朱雨も引っ越すにあたり、だいぶ処分をしたので荷物はあまりない。
そこまで時間がかからず終わった。

ちょうどそこに、初姫が両手に袋を抱えて戻ってきた。


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