暁に星の花を束ねて
(こんなはずじゃなかった……)

少名彦凛翔は廃ビルの会議室の隅で、ただひとり崩れるように座り込んでいた。

あの場では笑顔を保っていた。

だが佐竹の視線を、朝倉の言葉を、暁烏の無表情を、今になってすべて思い出す。

自分だけが舞台を主催しているつもりでいた。
だが現実は、自分こそが最も見られていた。

その冷たい視線の下で、彼は踊らされていたにすぎない。

(おれは……なんのために……)

彼の手元の端末が震える。
画面には『臨時休養の勧告』という件名。
送信者は、少名彦隼人。

短い一文が表示されていた。

「しばらく休め。後は私が引き継ぐ」

凛翔の唇がわずかに震える。

それは慰めでも叱責でもなかく、舞台から降ろされる者への宣告のように思えた。

その文字を凛翔はそっと指先でなぞる。

もはや、舞台は終わっていた。
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