暁に星の花を束ねて
二人だけの夜明け
焼跡に残る覚悟
廃棄研究施設。
焦げたような金属臭と、ひしゃげた壁の破裂痕が残る。
照明はほとんど死んでおり、非常灯だけが赤い脈動のように薄闇を照らしていた。
その中心に問題の装置が置かれている。
拘束台は半分焼け落ち、接合フレームは溶けゆがみ、
ところどころに黒い粉末、ナノ毒が焼失した痕跡が残っていた。
公安の鑑識官が、装置の裂け目にライトを当てて低く唸る。
「……とんでもねえ装置だな。
安楽死用のプロトタイプを改造した……いや、これは軍事転用だ。 対象の生体機能を完全停止させるための仕様だぞ」
後方で警備班の責任者が顔色を失う。
「星野研究員を、生身の人間にこれを繋いでいた……?」
鑑識官は頷き、液晶パネルの残骸を慎重に起こした。
「しかも部長さん、佐竹部長さんが、自分の端末をここの主制御デバイスに直結させて強制停止した……で合ってるな?」
戦略部門の若い分析官が苦い表情で答える。
「はい。解除プロセスが二重暗号化されていたので……部長はおそらく、自分の生体認証を餌にして装置の暴走を誘発し、爆縮前に破壊したんだと思います」
「……無茶苦茶だな……」
公安の男は思わず息を漏らした。
「下手すりゃあんたら、部長ごと爆死してたぞ。
これは街一区画が更地になるレベルのナノ毒量だ。
誰がこんなの持ち込んだんだ……?」