暁に星の花を束ねて
二人だけの夜明け

焼跡に残る覚悟


廃棄研究施設。

焦げたような金属臭と、ひしゃげた壁の破裂痕が残る。

照明はほとんど死んでおり、非常灯だけが赤い脈動のように薄闇を照らしていた。

その中心に問題の装置が置かれている。

拘束台は半分焼け落ち、接合フレームは溶けゆがみ、
ところどころに黒い粉末、ナノ毒が焼失した痕跡が残っていた。

公安の鑑識官が、装置の裂け目にライトを当てて低く唸る。

「……とんでもねえ装置だな。
安楽死用のプロトタイプを改造した……いや、これは軍事転用だ。 対象の生体機能を完全停止させるための仕様だぞ」

後方で警備班の責任者が顔色を失う。

「星野研究員を、生身の人間にこれを繋いでいた……?」

鑑識官は頷き、液晶パネルの残骸を慎重に起こした。

「しかも部長さん、佐竹部長さんが、自分の端末をここの主制御デバイスに直結させて強制停止した……で合ってるな?」

戦略部門の若い分析官が苦い表情で答える。

「はい。解除プロセスが二重暗号化されていたので……部長はおそらく、自分の生体認証を餌にして装置の暴走を誘発し、爆縮前に破壊したんだと思います」

「……無茶苦茶だな……」

公安の男は思わず息を漏らした。

「下手すりゃあんたら、部長ごと爆死してたぞ。
これは街一区画が更地になるレベルのナノ毒量だ。
誰がこんなの持ち込んだんだ……?」

< 161 / 248 >

この作品をシェア

pagetop