暁に星の花を束ねて
「紫。問うが、おまえは毒を盛った花と枯れない花。どちらが美しいと思う?」

紫はわずかに顔を上げる。

「……毒も花も、美しく咲くことに意味はない。ただ、散るその時が価値を決めるかと」

「ふん……おまえの答えは、いつも面白みに欠ける」

宗牙は立ち上がり、ホログラムに映し出されたスクナヒコナテクノロジーズのロゴマークに視線を走らせる。

「散らせてやろう。あの氷の参謀と、純白の花ごとにな。目障りな花は咲き切る前に吹き飛ばすのがいい。……それに、そろそろ奴も表に引きずり出してやらねばな」

紫の眉がわずかに動いた。

「……まさか」

「察しがいい。あれが表舞台に立てば、氷の参謀とやらもただの薄氷だ」

宗牙は最後の一滴を喉に流し込むと、グラスを冷たい石の卓上に置く。

「さてゲームを続けようか。花弁がまだ散らぬうちに」

その赤い瞳が、まるで世界のすべてを燃やすかのように細められた。


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