ご主人様は糖度高めの三つ子様

「ないね…」

辺りには何もなかった。

やっぱり誰かに盗られたのかも。
ここは三つ子のマンションの敷地ではないし、
人通りも多いから、
まだ一ヶ月も履いてない高級ブランドのサンダルなんて盗られちゃうか。

「俺が買ってあげるよ」
「いっ…いいよ!自分で買うし」
「前履いてたブランドが好きなの?」
「全然!ブランドものなんて普段履かないし…」

あれは最期の夜(の予定だった)に
店員さんが選んでくれた名前も知らなかったけど
百貨店の一番高級なフロアに入ってたから
おそらくめっちゃ高いブランドだと思われる
サンダル。

「もしもーし」

ぼやっとしていたら太陽が電話で誰かと話し始めた。

「店にあるやつ全部、
鞄とセットで適当に見繕って。
うん、うん。今から取りに行くから」

電話を切ると太陽はマンションの中へ戻って行く。

「木葉ちゃんはもう休んでて」

私を玄関に置いて、
そのままさっさとガレージの方へ消えていった。
サンダルが見つからない以上、もうすることはないか。

出血したり、たぶん熱中症になったり、
色々あったけど、靴を置き忘れたなんて
バカなことしたって気づかれずに済んでよかった。


あの後みんなは家具を買いに行ったんだろうか…?

自分の部屋に戻ろうと
階段を上がっていると、
お風呂上がりの雷とばったり会ってしまった。

「わっ…」
湯船に浸かったのかな?
顔が赤くてちょっとかわいい…

「なに?」
「いや、何も…
お、おやすみなさい」
「待てよ」

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