転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 勝手にお菓子を与えて、なにかにあたって具合が悪くなってしまったり、食事をとれなくなったりしてしまっては本末転倒である。
 王宮に出入りする文官達は、そのあたりもしっかりしているらしい。

「おいちい! あたち、これしゅき!」

 リリカの好みまでしっかり把握しているらしい。甘いものはなんでも好きだが、一番気に入っているのは、ドライフルーツやシロップ漬けの果物をのせて焼いたクッキーである。
 焼き上げることによって、いつもと違った食感になるのも楽しい。文官が渡してくれたのは、絞り袋を使って絞り出し、頂点に小さく切ったシロップ漬けのチェリーをのせたもの。
 赤がポイントになっていて、チェリーの部分だけ違った食感が混ざっているのも特別感を演出している。バターの香りもよく、菓子職人がいい腕をしているのがよくわかる仕上がりだ。

「ありがと、おにいしゃん」
「いえ、どういたしまして――お好みでしたら、こちらのお店で買えますので」

 と、カードを側のテーブルに置いて去る。リリカは、そのカードを見た。
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