転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 王宮から少し離れたところにできたスイーツショップらしい。もしかしたら、あの文官の家族とか知人とかが経営しているのかも。
 イヴェリオは甘いものをさほど好まないが、リリカは甘味が好きだ。リリカが欲しがることを見越してのことかもしれない。
 ――なんて考えてはみるけれど、そのぐらいは許容範囲だろう。

(うん、私が本当に可愛いだけかもしれないし!)

 小さな子供が美味しいものを食べて顔をほころばせる。
 その顔が見たかっただけの可能性も否定はできない。リリカも美味しくいただいたので、深く追求するのはやめておいた。

「トワもたべゆ?」

 部外者が室内にいないのを確認してから、トワを呼び出す。今、室内にいるのはイヴェリオとリリカだけ。
 いつものように緊張感の欠(かけ)片(ら)もない姿で現れたトワは、リリカの差し出したクッキーを遠慮なく口に入れた。
 甘いものが好きなのは知っている。
 尾をぱたぱたとさせて、リリカに頬ずりしてくる。もう少しリリカの能力が上だったら、トワと会話できたかもしれないのに。
 と、ここで時間切れ。現れた時と同様に、ぽふんと姿を消してしまう。

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