転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 リリカは、じっとヴォルガの顔を見上げた。口元を引き締めてはいるけれど、少しだけ、本当に少しだけ口角が曲がっている。
 彼も、表情を隠し切れないことがあるらしい。

「しかし、陛下はリリカ嬢と仲がよろしいのですね」
「うん。妹みたいに可愛いんだ。僕、兄弟がいないから……イヴェリオは仲良くしてくれるけれど。今日、友達ができるといいな」

 今、アークスが視線を落としたのは、嘘ではない。
 彼の両親が相次いで亡くなってから、まだ三年だ。幼い少年の心には深い傷が残っているに違いない。

「アークとあたちはなかよち!」

 だから、あえてリリカは空気をぶち壊す。アークスには、悲しい顔はしてほしくないから。

「アーク、おかちたべまちょ!」
「そうだね。侯爵も一緒にどう? ハーブを使ったケーキやクッキーを、菓子職人が用意してくれたんだ」

 アークスは、今の暗くなった表情を忘れようとしているように笑顔を作る。
 誘われたヴォルガもまた、アークスの誘いを、微笑みと共に受け入れた。


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