転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 ベルザール王国の一行は、王都の中にある屋敷のひとつを、大使館として借り上げたそうだ。その屋敷の敷地は、ベルザール王国に準じる扱いになるため、許可を得ずに、エステリア王国の者が敷地内に立ち入ることはできない。

「――宰相閣下!」

 花の鑑賞会から十日後。
 イヴェリオの執務室でリリカが書類の整理をしていたら、顔色を変えた王立魔術研究所のカルロスが駆け込んできた。

「どうした?」
「研究所に、侵入者が――!」

 ほう、とイヴェリオは顎に手を当てる。彼の目がすっと細くなり、カルロスを睨むようにした。

「何が奪われた?」
「夜鳴草の栽培方法の他、大きめのルーンストーンや、宝石類が奪われました……!」

 カルロスの顔は青ざめている。夜鳴草の栽培方法が盗まれるかもしれないと話をした時、カルロスは半信半疑で聞いていたのだ。

「ルーンストーンと宝石は換金用だな。他に盗まれた資料はあるか?」
「はい、私の研究資料と、エイミー助手が研究していた古代魔道具の資料が――もっとも、どちらもこちらの用意した偽物ですが」

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