転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 夜鳴草を気にしている者がいるとわかった段階で、王立魔術研究所の職員全員に、ダミーの資料も用意するよう命令が出されていた。
 面倒でも、本物の研究資料は帰宅前に定められた場所に隠すこと。その代わり、自室には偽の資料を置いておくこと。
 まさか本当に盗賊が資料を持っていくとは疑わず、カルロスは面倒がっていたようだ。

「ルーンストーンと宝石については、しかたない。本当に貴重なのは、君達の研究資料だからな」
「いえ、まさか、魔術研究所への侵入を許すとは――」

 貴重な資料がいろいろとあるため、王立魔術研究所は、アークスの暮らす王宮と同じぐらい厳重に警戒されている。まさか、そこに盗人(ぬすっと)が入り込み、研究資料を持っていくなんて思ってもいなかったのだろう。

「警備体制の見直しが必要だな。早急に再確認をしよう」

 リリカがじっと見ていると、カルロスが深々と頭を下げて立ち去る。
 それから、王宮内の警備をしている騎士達が、入れ替わり立ち替わりイヴェリオのところにやってきて、あれやこれやと報告をしている。

「……なるほど」
「どうちたの?」

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