転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 先日、王立魔術研究所に侵入者があった件については、ちゃんとリリカにも伝えられている。手口が、かつてリリカを捕らえていた『闇の商人団』のものに似ているということも。
 もし、彼らが活動を再開したのだとしたら――精霊使いとしての素質を持つ子供が、再び誘拐されるかもしれない。皆、それを恐れている。

「しゃいばいほうほう、にしぇもの。のうじょうで、ぬしゅんだしゃいばいほうほうとなにがちがうのかみたいのかも」
「……そうだな。夜鳴草の栽培方法については、わざと誤ったものを記入してあるからな……」

 先日盗まれた資料は、魔術研究所の魔術師やリリカが総力を上げて作り上げた偽物だ。
 盗まれた資料の通りに栽培してもうまくいかないだろうし、古文書の解析ミスを疑って一緒に盗んだ古文書を解読しようとしたところで、そもそも古文書が偽物だ。
 栽培に成功するはずもない。実際に栽培している現場を視察する必要があると、彼が判断してもおかしな話ではない。

「リリカを置いていくのも不安だし、一緒に行こうか。リリカを同行させることで、相手も油断するだろうし」
「あい!」

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