転生幼女と宰相パパは最強コンビ
 もっとも、アークスの両親やイヴェリオの両親が命を落とした伝染病の勢いはすさまじく、その時ちょうど古い記録の整理を行っていた司書も亡くなったというのだからしかたのないところもあるのかしれない。

「……っていうか、これ、おもてにだちちゃいけないやちゅ」

 思わず口から零れ落ちた。

「どうした?」
「パパ、これはだめ。げんじゅうにかんりちておかないと」

 記録の整理を行っていたのは、長い間王宮に仕え、口がかたいと信頼を得ている者だったという話も聞いている。この情報が表に出ていないことからも、それは納得である。

「ベユザーユおうこく、しぇいれいちゅかいしゃらってた」

 記録をイヴェリオの方に突き出せば、向かっていたデスクから立ち上がった彼がこちらにやってくる。リリカの手にあったのは、当時の情報局――平たく言ってしまえば、スパイ組織からの報告書である。

「しゃらってた? ……ベルザール王国が、精霊使いを拉(ら)致(ち)していたということか?」

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